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【コラム】「女らしさ」から考えるジェンダー

 こんにちは!
ジェンダー分科会に所属しています、教養学部1年の鎌倉萌江です。京論壇という場は本当に学びが多く、博学多才な仲間たちに囲まれ、私は日々刺激を受けています。

ただ、大学の友人や家族に「京論壇でジェンダーについて学んでいる」と言うと、彼らの顔が不自然に歪み、「ジェンダーを学んでいるって、分かりづらい…具体的にどんなことをしているの…?」と尋ねられるのが辛いところです。確かに、「ジェンダー」と一口に言っても、その言葉を一言で定義するのは困難です。「ジェンダー」という一語の背景には、様々な知識や議論が集積しており、この言葉を簡単に説明しきることはできません。やはり「ジェンダー」という言葉は、多くの人々にとって、かなりとっつきにくい言葉であることは間違いないようです。
ということで今回のコラムで私は、「女らしさ」という、私たちに身近な言葉を考察していくことで、「ジェンダーを学ぶ」とは具体的にどんなことなのか、つらつらと述べていきたいと思います。


さっそく本題です。
まずはじめに、「女らしい」という言葉から連想されるイメージはどんなものか、考えてみて下さい。……どうですか、イメージできましたか?何となくのイメージでも構いませんよ。
もちろん、皆が皆「女らしい」という言葉に対して、まったく同じイメージを持つ、ということはないでしょう。しかし、多くの方々が「感情表現豊か」「髪が長い」「ワンピースやスカートを着ている」といったイメージを持ったのではないでしょうか。

私自身、「女らしい」という言葉が一般的にどのような文脈で用いられているのか興味が湧きまして。先日、30代女性をターゲットにした女性誌Cで「女らしい」という言葉がどのように、どれ程の頻度で使用されているのかについて、ちょっとした調査をしてみました。調査方法はいたって簡単で、①「女らしい」と書かれているページに付箋を貼る・切り抜く、②「女らしい」がどんな言葉と共に用いられているのか見てみる、これだけです。
しかしこの調査を実際にやってみるとかなり面白く、何と女性誌C一冊において、「女らしい」という言葉は計30回以上用いられていることが判明しました。そして「女らしい」という言葉の用いられ方もかなり興味深かったです。以下、列挙してみると…。
・ヒールは女らしさを上げる
・ふんわりスカートは女らしさを高める
・スカートには女らしさがある
・大人しい人は女らしい
・抜け感を出すと女らしさが増す
・セクシーさと女らしさは共存する
・女らしいともてる
・ピンク色や赤色の暖色は、女らしさを感じさせる
といったかんじです。
少々横道にそれてしまいましたが、このように「女らしさ」という言葉には女性に対するある種のステレオタイプが盛り込まれているようです。

 それでは次に、「女らしくない」という言葉を考えてみましょう。この言葉からは「がさつ」「うるさい」「色気がない」という言葉が一般的に連想されるようです。
 しかし中止すべき点はそれぞれの具体的イメージではありません。「女らしくない」という言葉が持つ“否定的ニュアンス”です。
 例えばある女性が「君って女らしいね」と言われた状況を想定してみてください。その女性は発言者の下心を感じ、不快感を覚えることがあるかもしれませんが、少なくとも、その「女らしい」という評価にはプラスのニュアンスがついていることが殆どのはずです。しかしながら「君って女らしくないよね」と言われた場合、その「女らしくない」という言葉には、往々にしてマイナスのニュアンスが纏わりついています。
 このように「女らしさ」という言葉は、ある種の価値判断を孕むものであり、そして、であるからこそ、規範的になり得る言葉なのです。
 ここで規範的という言葉をざっくばらんに説明してしまいましょう。規範的とは、「~べき」というある種の期待感を持っている、ということです。例えば、「先生は生徒の気持ちを理解して指導するべきだ」という文章は、規範的であるといえます。つまり先生に対しては、生徒の気持ちを理解して指導するべきだ、という期待がかかっているのです。
ですから、「女らしい」という言葉は、女性に対して「大人しくあるべき」「スカートをはくべき」といったある種の規範隠し持っていることが多いのです。

もちろん、ある女性が自らスカートを履きたいと願い、そして大人しくありたい、と願っているならば、その女性の意志は尊重されるべきです。しかしながら、「女性らしさ」という言葉が、ステレオタイプから逸れた女性のことを否定するような言葉となってしまう社会は、果たして正しいと言えるのでしょうか?
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ここまで「女らしい」という言葉を例にとって考察してきましたが。ざっくりまとめてしまうと、このように、「社会」という文脈の中で考える性を、一般に「ジェンダー」と呼んだりします。そしてジェンダー分科会では、主に、この「ジェンダー」について学んでいるわけです。

 私の説明は少し不足するところもあるでしょう。次回のブログ執筆担当が回ってきた際には、私自身、更に理解が深められているよう、頑張りたいと思います。北京セッションに向けて、精進していきます!

 

文科一類1年 鎌倉萌江