京論壇2017公式ブログ

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東京セッション報告③

こんにちは。エリート主義分科会所属のソンジヒです。
東京セッションでのエリート主義分科会の活動を報告させていただきます。

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北京セッションで私たちは主に「エリート」という定義について議論し合いました。エリートという言葉を定義づけるときにそれほどの時間を使った理由とは、北京大と東大の間、あるいは、中国と日本の間にエリートという概念の考え方に差があり、それを明らかにさせ共通したエリートという概念を持ってから以降、本格的な議論をし始めるのがより効果的であったと考えたためです。その中で、私たちは大衆が「エリート」とい存在そのもの、そして「エリート主義」にある程度の反感を持っていることに気づきました。特にこのような反感は中国において強く、北京大の大半が自分自身をエリートと考えなかった理由としては、このような背景があったと考えられます。

そのため、議論の後半である東京セッションにおいて私たちは、「反エリート主義」に焦点を当てました。

私たちは以前の北京セッションで、エリートとはある種の過程を通じて「選ばれた」人という定義に辿り着きました。例えば、私たちは学歴もある種のエリートの条件の一つとして取り上げられると想定しましたが、高い学歴を勝ち取ることは「受験」という過程の中で競い合うわけです。エリートというものはこのような過程でその業績が優れた人々で、この過程・競争に入る障壁はないため、中立的に選ばれたと言えるでしょう。即ち、彼らはみんなが参加できる過程で、妥当的に選ばれということです。それにも関わらず、なぜ人々はエリートに対する反感を持っているのでしょうか?

このような反感に対して私たちは、第一に限られた少数の人(いわゆるエリート)が社会を支配することへの不満、第二に限られた少数の人が社会からより多くの利益を得ることに対する不満、第三に社会を導く少数らが自分自身の役割を果たしてないことへの反感という3つの理由を結論として下しました。

また、ここで私たちは、社会で少数の人、即ち、少数のエリートが社会を導くことは不可避的なことであると想定しました。その理由は、歴史上でも分かるように古代ギリシャのような都市国家でない限り、多数が政治にするという「直接民主制」をとることは現実的に難しいと考えたためであります。この理由のもとで「限られた少数の人(エリート)が社会を支配することへの不満」は改善しにくいという考えに至りました。そのため、私たちは上記の第二と第三の理由について深く話し合い、それに基づいて現状の「エリート」と「大衆」の間の誤解を解し、望ましい関係を築き上げるためにはどうすべきかについて主に議論しました。
まず、私たちは限られた少数の人が実際に他に比べ多くの利益を得るのか、また、そうだとしたらそれはどのようなルートにより行われるかについて話しました。その結果、東大と北京大両側とも日中でエリートがある種の特典を社会から得ていることには同意しましたが、その背景については意見が分かれました。

日本の場合、大きく経済的背景と家族的背景があるの2つがエリートがより多くの利益を得る背景として挙げられました。経済的に豊かな人は、ただ経済的な利益を多く得るだけでなく、より良い質の教育を受けられる可能性が高いため教育においても有利であり、また政治においても多額かかかる選挙にも出やすい等様々な分野において自然に多くの利益を得られやすいのです。また、日本の場合、政治家という職業は他の国に比べ継承されることが多いため、政治家においては家族的背景も大きく関わってくることが分かります。

中国も日本と同様、経済的背景が教育、政治、経済において成功しやすい、即ち、エリートになりやすい第一の原因として挙げられました。しかし、日本と異なってきたところは「关系(Guanxi)」という対人関係が社会からより多くの利益を得る要素であるということです。特にこの「关系」は日本の家族的背景のように政治家や官僚になるために重要なものであり、これは中国で政治家や官僚になるためには今の政治家や官僚によるある種の推薦によりなるしかないためであります。要するに中国でいわゆる关系がないと政治的エリートといわれる官僚や政治家になること自体が難しいのです。

今回の報告では、東京セッションで私たちが焦点を当てた反エリート主義に関する概略と、その背景として挙げられる3つの要因の中でも第二の「限られた少数の人が社会からより多くの利益を得ることに対する不満」について詳しく述べさせていただきました。

このような京論壇の活動は私にとって日中両国をより深く理解する大事な学びの場になりました。
この一年間支えてくださった皆様に感謝を捧げます。本当にありがとうございました。

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教養学部2年 宋知姫(ソンジヒ)