京論壇2017公式ブログ

京論壇2017の公式ブログです。ゆるふわに記述することを心がけます。

東京セッション報告⑤

久しぶりの投稿となる。ジェンダー分科会の議論内容についてはメンバーの大島が広くカバーしてくれたと思うので、今回はざっくり自分の所見を述べた後に、包括的に京論壇について説明できればと思う。
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私が議長を務めた分科会は、ジェンダーという日中が追求できる「共有価値」をテーマにしていた。京論壇として議論する意義が大いにあったと感じる。事実「このような共有価値の追求は今後日中が協力関係を深めていく上で不可欠だ」と北京大の教授もオープニングセレモニーにおいて述べている。実際、議論の際は日中というグループ分けだけでなく、男女に分かれて議論する場面も多かった。日中という切り口に偏りがちな京論壇において、様々な切り口で議論することに半ば成功したと自負している。むろん、日中におけるジェンダー問題の現状は異なっているし、お互いに学ぶことも多かった。

上記のようなジェンダーの議論に至るまで、1月頃にキックオフしてから早10ヶ月。議題の検討、議題決めのための北京渡航、メンバーのリクルート、夜な夜な集まった分科会。思い返せば、かなりの時間とお金をこのプログラムに費やした。学生から社会人の方々まで様々な方がこのブログを読んでいると思うが、このような方々に対して改めて「京論壇は、東京大学19人の学生が、数百時間をかける価値があるプログラムである」ということをアピールできればと思う。
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昨今、国際交流プログラムは数えきれないほどある。4月に駒場で国際交流プログラムの合同新歓があるが、その参加団体の多さに私は唖然とした。その数の多さが、学生の需要によるものなのかどうかはよくわからない。一部の有名な団体を除いて多くの国際交流団体は新歓活動に苦労しているし、私たちの京論壇もむろん例外ではない。国際交流プログラムに参加したい層が微増なのに対して、プログラム数が急激に増えているのが原因といったところだろう。だからこそ、多くの団体がなんとか他との差別化を試みている。

では、京論壇の独自性は何か?

以下に自分が経験したことを踏まえて、三つの点を提示する。

1 圧倒的なコミット量に基づく信頼関係と成長機会

前述したように、本プログラムのフルな2週間の他にも、議論のフレームワークを決める議論、テーマへの知見を深める会など、頭をフルに使う機会が豊富にあった。今も、議論の成果やフィールドワークの成果を社会に発信するために報告書を書いている。常に「何の目的で、どのような観点から議論するのか」といった事柄をゼロベースで検討することはこれほどキツいのかと正直驚いた。ただ、この作業を中途半端にせず、真摯に向き合うことができたのは豊富なコミットがあったからこそだと信じている。

むろん、2週間のプログラムを通して昼夜をともにすることで、ただ議論するだけではない、「仲間」としての情がメンバーの間に芽生えたと思う。また、個人的には議長として若手のメンバーから様々な刺激を受けた。そのような刺激の中には、私たちの分科会のテーマであるジェンダー問題に対する見方も含まれるが、それだけでなく、夜な夜な雑多なテーマで議論したことや、将来の夢のような個人的な見方についてのものもある。このような誠の信頼関係を生んだからこそ生まれた特別なものがあると思う。


2 多様な年齢層とバックグラウンド

多くの国際交流団体は駒場発祥ということもあり、1・2年生が中心となっていると思う。また、参加する学生も文科生が多い印象だ。しかし京論壇は、私の分科会に限って言えば1年生から修士2年まで、法学部や教養学部から工・農といった理系学部というように、幅広いバックグラウンドの学生が所属していた。正直なところ、このような多様性の意義を1・2年生で自発的に見出すことは難しいかもしれない。しかし、大学の最終学年になったからこそ、その意義をヒシヒシと肌で感じている。
「就活について考える前に、就活を一度経験した人と話せていれば……」
教養学部という閉鎖的な空間に移動する前に、理系学部生と真剣に物事について語り合えていれば……」
言い出したらキリがないだろう。かつ、実際に経験するまでその経験の重みを感じることはできないかもしれない。だからこそ、このブログを読んでいるかもしれない若い学生の方々には、京論壇に限らず多様なバックグラウンドを持つ人のいる場にチャレンジしてほしいと願う。


3 「東大と北京大」という閉鎖的環境に対して

京論壇は、東大生と北京大生というそれぞれの国におけるトップ大学の学生によって構成されている。これはある種の閉鎖的な環境と言わざるを得ないだろう。度々、この点については団体内外から批判される。社会のことを広く議論する上で、このような構成は問題になりうる点でもあるだろう。だが、むしろ一種の閉鎖性を持っていることで、これほどまでにその閉鎖性に問題意識を抱え、その問題を克服しようと試みている団体はあまりないように個人的には感じる。そのような試みの中には、自分の主観的な意見を支える文献に当たることや、実際の現場に出向くフィールドワークがある。私たちのジェンダー分科会も、東京セッション中に限って言えばSMBC様とPwC様に訪問し、お話を伺った。

また、東大と北京大というステータスは、社会に対する課題意識を共有する意味で大変重要になる。日中関係が今後従来よりも肝要になっていくことは疑いの余地がないが、社会をリードしていく可能性を大きく持っている私たちが社会問題について議論する営みは、ひいては社会全体に意義があることだと僭越ながら感じる。
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末筆になりますが、この団体の運営にご協力いただいた全ての方に深く感謝いたします。

 

教養学部4年 岡本祐太