京論壇2017公式ブログ

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ジェンダー分科会議論進捗報告

こんにちは。ジェンダー分科会所属の廣中です。
今回は、「ジェンダー分科会」の事前準備の様子と本番の会議に向けてどのような議論を考えているかご紹介します。ジェンダー分科会の扱う問題については、他の記事にもそれぞれのメンバーがコラムで書いておりますので、是非そちらも御覧ください。

さて、5月にメンバーが決まってから私達の分科会では東京大学側メンバーで1週間に1度ほど集まって事前会議をしています。その会議では、分科会の議題に関する論文や記事などを読みそれについてディスカッションする中で、問題背景や現状の理解を深めていきました。また、北京大学生と円滑に会議を進め、限られた議論の時間を有効に活用するために、本番の会議での論点設定やその中で扱う事例の選定、議論の順番などを北京側とも調整しながら検討してきました。

より具体的には、ジェンダーのequalityやequityなどの根本的な捉え方について議論した後、以下の3つのテーマを主に取り上げていく予定です。具体的なテーマや具体例も基づいて議論をすることで、現実に即した結論を目指していきます。

1.キャリア
就職活動における男女の就職先や志向の違い、その中での自身のキャリア形成について考慮している課題や実際のキャリアの積み方の差異、その原因などを話し合います。女性のキャリア形成において、職場でのストレス、妊娠・出産・子育てと仕事・キャリアの関係は、女性のみに焦点を当てるのではなく男性の関わりや意識についても検討します。

2.教育
男女で異なる教育は合理的なのでしょうか。本当に平等な教育は実現できるのでしょうか。経済的、規範的に、男女に対して異なる教育をしてきた歴史はどのように変化を遂げてきたのでしょうか。そして現代においてどのような教育が求められているのでしょうか。教育は親や教師といった「大人」が「子ども」の方向性を決定付ける上で大きな役割を果たす場であることを踏まえて、これらを明らかにしていきます。また、男子校や女子校、別学などの教育制度の在り方と学生への影響を検討します。

3.家族
家庭内での夫・妻の役割は歴史を通じて大きく変遷してきました。現代の世代間の認識や価値観も大きく異なっています。基本的な家事、子育てや両親の介護といった場面に際して、夫婦間の役割の差異や基となっている価値観などを紐解いていきます。そして、今の学生の視点から現代における夫婦の役割を検討します。

ジェンダー分科会では話し合いの中で、無意識の意識化を行っていきます。それぞれの参加者がなんとなく意識したことのある問題、聞いたことのある社会課題を扱っていく場面が多いのですが、このテーマを議論する上で自分達の潜在的な、無意識的な価値観を意識的に掘り出し、可視化し、向き合っていきたいと考えています。それは、ジェンダーの捉え方や関連する事項への考え方というものが、日本の、地域の、学校の、会社の、組織の一員として私達が暗黙的に組み込まれている、価値観に基づいているからです。私達は、自分にとって当たり前だと思っていることを、本当にそうなのかと問い直していく中で、日本と中国の、男性と女性の、差異や共通点をあぶり出し、そしてそのような切り分け方自体についても問い直していきます。

農学部4年 廣中彩乃